RadioHeadレディオヘッド アルバム考その8 キングオブリムスKing of Limbs

今回はこれ。

発表は2011年。前作から2年。

一曲目の入りを聴いたところで、おっ、今回はダブステップか、とまず思った。

UKガラージ、ジャングル、ドラムンベース‥‥、ロンドンを中心に発生増殖したクラブサウンドの系譜で、ビートを解体、再構築することで、より複雑に、より自由に踊れる音楽を追求する流派の1つである。

例えばこんな感じで‥‥


PUMPED UP KICKS|DUBSTEP

私も毎朝公民館の前でこんな感じで踊っている(ナワケナイ)

今作の発表と同じ年、クラブ大好きトムヨークは、ダブステップの帝王、ブリアルとコラボしている。

ちなみにこの曲がそう。

Burial & Four Tet Feat. Thom Yorke - Mirror HQ

ダブステップの特徴は地鳴りのようなベース音にある。

崇高なレベルで生音と電子音を融合させた、キッドAでの成功体験があったから、いやが上にも期待は高まった。前作で生音の方にぐっと重心をかけた後だったけに、そっち側への揺り戻しは、個人的には大歓迎だった。

が、うーん、‥‥なんだコレは。

ヘイルトゥーザシーフの、魂を入れ忘れたあの感じとも違う。素材を選び、練りに練って作り込んだのに、どういうわけかさっぱりケミストリーを生じなかった、そんな感じか。

どうしてだろうと考えてみる。

まず、そもそも論だが、フロア系のダンスミュージックとレディオヘッドは合わない。文科系と体育会系ぐらい違う。

キッドAでは、テクノはテクノでも、チルアウトやアンビエントの影響が濃かった。初期ほどではないにしても、レディオヘッドの音楽の魅力は、己の内奥をこれでもかと掘り下げていく、その執拗なスタイルにある。情景描写に抜群の適性を持つアンビエントの音作りが、あのアルバムで彼らが企図した世界観と、恐ろしいほどにマッチングしたというのもあったろう。

 コリンのベースはダブステップの特徴をよくとらえている。しかし、ドラムはやっぱり厳しいね。端正で繊細、抜群の安定感でバンドを下支えしてきたフィルは、ダブステップで求められる主張するビートとは相性がよろしくない。その辺は、バンドとしての意思統一に不全があったのだろう。この手の音楽を聴きなれない人にとっては、チャカついたドラムが、曲の邪魔をしているようにしか思えなかったのではないか。そもそも、機械を使ってあえて変則的にしたビートを、生身の人間が再現することに意味があるとも思えない。スクエアプッシャーあたりの超高速ビートを、手足をタコのように動かして再現するドラマーがいたとしたら、叩いている姿をぜひとも見てみたいとは思うが‥‥。

ちぐはぐな感じは、アルバムの後半になっても変わらない。心に残る、すなわちここで紹介したくなるような曲が、結局ひとつもなかった。

でもまあこれは、チャレンジした結果だから、仕方ないと言えよう。成熟の極致とも言えるインレインボウズの後で、新たな方向性を模索しようという彼らの心意気だけは、文句なしに買えるのだから。

まあ次だね、次に期待しよう。